糸くり節
【歌詞】
1
心配(しわ)じゃ 心配(しわ)じゃ
糸くり しわじゃ
(スラヨーイ)
糸ぬ切りりば スラヤヌヤー
結ばりゅんめ
トコヤヌスラヤヌ バイドガジュイジュイ
2
心配(しわ)じゃ 心配(しわ)じゃ
糸くり しわじゃ
(スラヨーイ)
糸ぬ切りりば スラヤヌヤー
心配 物思(むぬうめ)ぇじゃ
トコヤヌスラヤヌ バイドガジュイジュイ
3
糸や 切りりば
結びも なゆり ヨーイ
(スラヨーイヨーイ)
縁ぬ切りりば スラヤヌヤー
結ばらぬよ
トコヤヌスラヤヌ バイドガジュイジュイ
4
糸くり 一番な
実定 兄(やくむぃ)
(ソラヨーイ)
二番なりゅん人や スラヤヌヤー
千代姉ぐゎ
トコヤヌスラヤヌ バイドガジュイジュイ
5
糸(いと)や繰(く)らさば 上糸(じょういと)繰(く)らせ
そげんなぶっかまんぬ スラヤーヌヤー
繰(く)り なりゅむぃ
6
心配(しわ)じゃ 物思(むぬむぇ)じゃ 甘蔗(うぎ)刈(き)りや 心配(しわ)じゃ
(囃子)スラーヨーイヨーイ
甘蔗(うぎ)ぬ 高切り スラヤーヌヤー 罪札(ばんちゃ) はきゅりよ
トコヤヌ スラヤーヌ
バイドゥガ ジュイジュイ
7
心配(しわ)じゃ物思(むぬむぇ)じゃ 甘蔗(うぎ)噛(くゎ)しゃ 心配(しわ)じゃ
(囃子)スラーヨーイヨーイ
甘蔗(うぎ)ぬ生(なま)噛(くゎ)しゃスラヤーヌヤー 罪札(ばんちゃ)はきゅりよ
トコヤヌ スラヤーヌ
バイドゥガ ジュイジュイ
8
心配(しわ)じゃ物思(むぬむぇ)じゃ 砂糖(すぃた)焚(た)きゃ 心配(しわ)じゃ
(囃子)スラーヨーイヨーイ
砂糖(すぃた)ぬやしゃ焚(だ)きスラヤーヌヤー
罪札(ばんちゃ)はきゅりよ
トコヤヌ スラヤーヌ
バイドゥガ ジュイジュイ
9
かしがでぃ しゅうてぃ 誰(た)が為(たむぃ) なりゅり
大和いちょぎん きりゃんきゃぬ 為(たむぃ)どぅ なりゅり
10
舟ぬ艫(とも)なん 美人(きゅらむん)ば 乗すぃてぃ
思(うも)い 青年(ねせ)衆(きゃ)に 舵取らそ
11
なあきゃ家(や)も わきゃ家(や)も 門松 立てぃてぃ
今年(くとぅし) 果報事(かふぐとぅ) 共(とぅも)に 願(ねぃが)お
12
黒鉄(くるかねぃ)火箸(ひばし)や むじきろ さねきぃろ
愛(かな)しゃる 縁(いん)ぐゎぬ 切りなりゅむい
【意味】
※1 心配なことだ。糸くりの仕事は本当に心配だ。糸が切れたら結ぶことは難しい。
※2 心配なことだ。糸くりの仕事は本当に心配だ。糸が切れたらどうしようか物思いだ。
※3 糸は切れると繋ぐことができるが、人と人との心が離れると、よりを戻すことは難しくてできない。
※4 糸を繰らせて一番上手なのは実定兄でしょう。二番はやはり千代姉さん。
※5 糸を繰るのであれば。もっと上等の糸を繰らせてください、そのような質の悪い繭では繰れません。
※6 心配です。砂糖キビの末まで切ると砂糖の出来が悪いので役人に罪の板をはかされる
※7 心配です。砂糖キビの半絞りは砂糖の出来が少ないので、役人に罪の板をはかされる
※8
※9 こんなにまで働いて誰のためになるのでしょうか。きれいな身なりの本土の役人の為になるだけです。
※10 舟の後ろの方には若いきれいな娘さんたちを乗せて、好きな青年達に舟の運転を任せて、行きましょう。
※11 貴方の家も私の家もお正月には門松を立てテて祝い、今年も最良の年でありますよう、お互いに祈願しましょう。
※12 火箸は必ず、よじれていますが愛する二人の心はどんなことがあっても切れません
【解説】
名瀬の旧墓地の所に観音寺があり、その近くには薩摩藩の糸繰り所があった。
そこで各集落から上納の糸を集め、糸を繰ったが、
その時の厳しい労働事情を歌っている。糸ではなく、さとうきびの労働を唄った歌詞もあり、その場合は
「ウギ刈り節」「心配(しわ)じゃ節」とも言われる。